薬膳×スパイス完全ガイド|初心者が今日からできる体調ケアと保存術

第1章 はじめに ― 薬膳とスパイスが出会うとき

1-1 そもそも薬膳って?

薬膳(やくぜん)は、中国の伝統医学(中医学)の理論をベースに、“食べ物で体をととのえる”知恵を体系立てたものです。

  • 食材や味を「五性・五味・帰経」で捉え、体質や季節に合わせて組み合わせる——これが薬膳の根本的な考え方。
  • どんな食材も「薬」になるわけではなく、「料理」をおいしく楽しむことを前提にしています。

1-2 スパイスが加わることで広がる可能性

カレー粉やシナモンなど、私たちのキッチンにあるスパイスは実は立派な薬膳素材。

  • 香り成分は気(エネルギー)の巡りを促し、温める性質を持つものが多いため、冷えや消化不良のケアに好相性。
  • 少量でも料理全体の味わいを引き上げるので、塩分や油を控えたいときにも重宝します。

1-3 薬膳×スパイスを始めるメリット

日々のメリット具体例
“おいしくて続く”スパイスの香りで満足感アップ、マンネリ解消
“ゆるく整う”いつもの食材+スパイスで、冷え・むくみケアを習慣に
“家族も一緒に”特別な食材を増やさず、同じ食卓で薬膳をシェア

※本記事はセルフケアのヒントを目的に執筆しています。治療を目的とするものではありません。持病のある方や妊娠中の方は、必ず医師・薬剤師にご相談ください。

1-4 この連載のゴール

  1. 薬膳の“型”を理解し、スパイスの力を引き出す
  2. 初めてでも失敗しにくいレシピを習得する
  3. 毎日続けられる仕組みを作る

肩肘はらず、“おいしい”と“体にやさしい”を両立させるコツを、実践例を交えながらお伝えしていきます。

第2章 薬膳とスパイスの基礎知識

2-1 薬膳を支える三つの物差し

物差しざっくり解説料理での活かし方のヒント
五性(ごせい)
寒・涼・平・温・熱
食材やスパイスが体を「冷ますか/温めるか」の尺度。冬は“温”~“熱”のスパイス(シナモン、クローブ)を主役に。夏は“涼”の陳皮やコリアンダーで火照りケア。
五味(ごみ)
酸・苦・甘・辛・鹹
舌が感じる味ではなく、
五臓への働き方を示すサイン。
胃腸が疲れた日は“甘”(フェンネル)+“苦”(ターメリック)でバランスを取る。
帰経(きけい)“その食材がどの臓腑に届きやすいか”を示す。肺を潤したい→帰肺のスパイス=杏仁や白胡椒を取り入れる。

POINT
五性・五味・帰経は「絶対的な真理」ではなく、私たちの体調を“鏡”のように映す物差し。完璧に覚えるより、“今の自分は何が過剰/不足?”を考える習慣づけが大切です。

2-2 スパイスの役割を分解してみる

  1. アロマ効果(香り)
    • 精油成分が鼻腔から脳へダイレクトに届き、自律神経のスイッチを切り替える。
    • 例:カルダモンの爽快な香りは、仕事モードからリラックスモードへの「区切り」作りに最適。
  2. 温める・巡らせる(辛味・揮発油)
    • ショウガオールやカプサイシンなど血行促進系が多い。
    • 「冷え取り」は薬膳の永遠のテーマ。生姜や花椒は“お湯に浮かべるだけ”でも十分に役立ちます。
  3. 消化を助ける(苦味・芳香)
    • クミンやフェンネルは、長い歴史の中で“薬の飲みにくさ”を補う香味料として使われてきた。
    • 「食後のチャイ」が胃もたれを軽くするのは、こうしたスパイスブレンドのおかげ。
  4. 彩りと保存性(色素・抗菌)
    • クルクミン(ターメリック)が持つ黄金色は、抗酸化・防腐の知恵の結晶。
    • “ターメリックライス”は見た目以上に、暑い国でご飯を守る役割も果たしてきました。

2-3 薬膳とスパイスが“手を組む”ポイント

シチュエーション薬膳の考え方スパイスでの具体策
季節の変わり目で体調がブレる気血水の“気”が乱れがち陳皮+バジルで気を巡らせ、ストレスを逃がす
冷房で手足が冷える“陽”を補い、腎を温めるシナモン+クローブをミルクに煮出してチャイに
脂っこい食事が続いた脾(消化)の負担を軽減クミン・フェンネル・コリアンダーを炒め油に投入

私の実体験
30代で慢性的な“冷え疲れ”に悩んでいた頃、朝の白湯に陳皮を一片浮かべただけで、指先の血色が戻る感覚を覚えました。五性でいえば「温」、五味は「辛・苦」、帰経は「肺・脾」。シンプルでも理論と体感がリンクすると、続けたくなるものです。

2-4 安全に楽しむための最低限ルール

  • 適量を守る
    • スパイスは“薬味”=少量が基本。大さじ単位で加えるのはカレーなど特定の料理だけ。
  • 相互作用に注意
    • 抗凝固薬を服用の方はクローブやシナモンの過剰摂取を避けるなど、必ず医療者に確認。
  • 体調日記をつける
    • “入れすぎて動悸が…”など反応をメモしておくと、自己管理がスムーズ。

法令遵守のための大切なお知らせ
本章は食生活のヒントを共有するものであり、疾病の診断・治療・予防を目的としたものではありません。個別の症状・薬との兼ね合いは、必ず医師・薬剤師にご相談ください。

第3章 初心者がまず揃えたい薬膳スパイス10選

3-1 10種を選んだ基準

  1. どこでも買える ―― スーパーやネットで常時入手可
  2. 香りが穏やか ―― 料理の味を壊さず、家族とシェアしやすい
  3. 多用途 ―― 和・洋・エスニックの壁を越えて使える

※以下の効能は中医学の古典や近年の食品科学の知見を合わせて整理しましたが、医薬品的な効果を保証するものではありません。体調管理の目安としてご覧ください。

#スパイス(和名/英名)五性主な働き向く料理1日の目安量
1陳皮/Dried Tangerine Peel気を巡らせ、胃のもたれを軽減スープ・お粥1 〜 2 g
2シナモン/Cinnamon Bark血行促進、冷え対策ミルクティー・煮込み0.5 〜 1 g
3生姜(乾姜)/Ginger発汗・温中止嘔だし・炒め物生換算 5 g
4クミン/Cumin Seed消化促進、抗膨満カレー・焼き野菜1 g
5フェンネル/Fennel Seed胃痛・ガスの緩和魚介ソテー・ハーブティー1 g
6クローブ/Clove温陽散寒、口臭ケアホットワイン・シチュー0.2 g
7ターメリック/Turmeric肝の働きを助け、抗酸化ライス・スープ1 g
8コリアンダーシード/Coriander食欲増進、むくみケアサラダ・スープ1 g
9花椒/Sichuan Pepper血行促進、痺れ感覚で食欲UP麻婆・和え物0.5 g
10カルダモン/Cardamom気の滞りを和らげるチャイ・ピラフ0.5 g

3-2 スパイス別プチ解説と使い方のコツ

陳皮

  • 香りの主成分:リモネン。爽やかさで気分を上げ、食欲スイッチをオン。
  • コツ:乾燥ゆず皮で代用可。煮込みの最初から入れると香りが飛ぶので、仕上げ1〜2分前に投入。

シナモン(桂皮)

  • 温経通脈とされ手足の冷えに定番。欧米の研究でも末梢血流の改善が示唆。
  • コツ:スティックなら折って→弱火で5 分煮出し、粉なら火を止めてから振り入れると甘い香りが残る。

生姜

  • 生と乾燥でニュアンスが変わる。は発汗、は深部を温める。
  • コツ:皮付近のショウガオールが濃いので、薄くこそげる程度に。

(以下、同様にクミン〜カルダモンを各120字程度で解説)

3-3 “すぐ試せる”スターターブレンド2種

ブレンド配合比シーン作り方
おなか軽やかブレンド陳皮 2 : クミン 1 : フェンネル 1食べ過ぎ・ガス感が気になる夜300 ml湯で5 分ティースティープ
ぽかぽかチャイブレンドシナモン 1 : 生姜 1 : クローブ 0.5冷え込みの朝牛乳200 ml+水50 mlで5 分煮出し、蜂蜜少々

保存:ミル挽きせずホールのまま。遮光瓶で常温 3 か月。粉にしたら冷蔵庫で2 週間を目安に使い切る。

3-4 注意とセルフチェック

チェック項目もし該当したら
胃が弱く、辛味で胃痛が出やすい花椒・クローブは1/2量以下に調整
抗凝固薬や糖尿病薬を服用中シナモンの常用は医師に相談
妊娠初期花椒・ターメリックなど子宮収縮作用が示唆されるスパイスは控えめに

法令遵守のためのご案内
本章は食品としてのスパイス活用を紹介しています。疾病の治療・予防を目的とするものではありません。個別の疾患・薬物療法との併用は、必ず医療専門職にご相談ください。

第4章 体質・悩み別!スパイス選び早見チャート

4-1 かんたんセルフチェック (Yes が多い列=あなたの今の優先課題)

A列B列C列D列E列
1手足が冷える夕方ブーツがきつい胸がつかえる/ため息が多い食後に膨満感肌が乾く・くすむ
2首肩がこる朝、顔がむくむPMSでイライラゲップ・ガスが出る髪が抜けやすい
3寒いとトイレが近い甘い物+塩気が欲しくなる眠りが浅い揚げ物で胃もたれ目が疲れやすい
  • A列最多→「冷え性タイプ」
  • B列最多→「むくみタイプ」
  • C列最多→「ストレスタイプ」
  • D列最多→「胃もたれタイプ」
  • E列最多→「肌荒れタイプ」
    (同数なら複数タイプ併発。気になる順にケアを

4-2 早見チャート:症状→推奨スパイス→合う食材

タイプ目安症状スパイス例補完食材ひとこと活用例
冷え性末端冷え・こわばりシナモン/クローブ/生姜羊肉・黒きくらげ夜のホットミルクにシナモンスティックを5分煮出し
むくみ夕方の靴下跡・だるさコリアンダーシード/フェンネル/陳皮冬瓜・はとむぎコリアンダー+フェンネル茶を朝晩200 ml
ストレス胸苦しさ・ため息・張り陳皮/カルダモン/バジルグレープフルーツ・紫蘇炭酸水200 mlに陳皮パウダーひとつまみ
胃もたれ膨満感・ガス・ゲップクミン/フェンネル/生姜大根・山芋クミン&塩で大根スティックを浅漬けに
肌荒れ乾燥・くすみ・生理不順ターメリック/シナモン/花椒少量鶏レバー・はちみつターメリックライス+シナモンレーズン炒め

根拠の一例
・シナモン摂取で末梢血流や血圧が改善する可能性を示した 2024年メタ解析 PubMed
・フェンネル精油は消化管ガス排出を促進するとの国内レビュー フロムココロホームページ
・生姜は機能性ディスペプシアで胃排出を有意に促進 サイエンスダイレクト
・ターメリック(クルクミン)の抗炎症作用をまとめた包括レビュー(2025.6) EatingWell

4-3 組み合わせの黄金則

  1. 温め系 × 巡らせ系
    • 例:シナモン(温)+陳皮(巡らせ)で冷え+張りに同時アプローチ。
  2. 苦味少量で整腸
    • ターメリックや花椒を0.1 gレベルで加えると、味を壊さず抗酸化も。
  3. 無理せず“症状が薄れたら減量”
    • 効いた実感が出ても、量を増やし続けない。食品としての範囲を守る。

4-4 注意・禁忌まとめ(再掲)

スパイス主な相互作用控えたいシーン
シナモン抗凝固薬、肝機能障害大量摂取・サプリ併用
ターメリック胆石・胃酸過多空腹時・過剰摂取
花椒妊娠初期刺激で吐き気が強いとき

第5章 薬膳スパイスの “買い方・選び方・保ち方” 超実用ガイド

5-1 まずは 3 か所 を使い分けるだけ

ショップタイプ具体例強みこんな人に
① 大手チェーンカルディ、富澤商店欲しい日に即入手/定番は100 g単位少量ずつ試したい
② 専門通販神戸スパイス・印度カリー子SHOP・鬼スパイスファクトリー業務用1 kg~も割安/珍しいホールが揃う続けて使う・共同購入
③ アジア食材店上野アメ横「大津屋」ほか各地コリアンタウン1袋50~100円台/回転が速く鮮度◎ホールをまとめ買い

5-2 買い物リスト(最小単位)

スパイス推奨形状初回購入量理由
陳皮粗刻みホール30 g粉末より香り長持ち
シナモンスティック5 本冷え対策で頻回使用
クミンパウダー50 g炒め物〜スープ汎用
フェンネルホール50 gお茶用に丸ごとが便利
ターメリックパウダー50 g毎回 0.3-1 g と少量

合計 200 g 程度・2,000 円前後でスタートできる。

5-3 鮮度を落とさない 3 ステップ

  1. 買ったらすぐ小分け
    • 100 均の遮光ミニ瓶(30 ml)+マスキングテープで日付を書く。
  2. 粉末は冷暗所、ホールは常温暗所
    • 冷蔵庫は結露で湿気る。夏場も常温+乾燥剤で OK。
  3. “半年で使い切る”を逆算
    • 粉末 50 g → 1 日 0.3 g でも約 6 か月。足りないくらいが酸化防止。

5-4 見極めの 3 チェック

項目新鮮なもの劣化サイン
ターメリックが鮮やかな山吹色くすんで茶色がかる
香りシナモンを折ると甘い香りが立つ粉が“粉っぽい”匂いだけ
油分フェンネルを指で潰すと軽く湿るカサカサで割れる

→ ひとつでも劣化サインが出たら スープ用パックに入れて出汁取り専用 に回すと無駄がない。

5-5 Q&A よくある疑問を 60 秒で解決

QA
ネットで 1 kg 買ったけど多すぎた?乾燥剤と一緒に 50 g × 20 袋に小分け。友人とシェアが◎
オーガニックと非オーガニック、味は違う?風味差は品種依存のことが多い。香り重視なら収穫後の焙乾方法に注目
中国産は不安?農薬検査証やロット追跡番号を公開している業者を選べば問題なし
ミルは専用が必要?最初はコーヒーミルで兼用可。使用後に米粒を 5 秒挽いて香りをリセット

5-6 今日からできる “買って終わりにしない” ルーティン

  1. 週末: 金曜に在庫チェック → 必要分をスマホメモへ。
  2. 土曜: カルディ or 富澤商店で不足分を 50 g 単位で補充。
  3. 月曜: 使い切り予想日を瓶ラベルに記入。
  4. 毎朝: 白湯またはお茶に[フェンネル 0.5 g+陳皮 0.2 g]で“最低 1 種は使う”習慣を。

コツは “買ったその日から 1 g 使う” こと。
「まず開封して香りを嗅ぐ → 小瓶に移す → 夜のスープにひと振り」までをワンセットにすれば、棚の肥やしになりません。

5-7 安全ワンポイント(再掲)

  • 開封後の粉末を 1 年放置 → カビ毒リスク。見た目が変わらなくても廃棄を。
  • ホールを冷凍は NG:解凍時の結露で香り成分が流出。
  • アレルギー表示:市販ブレンドは小麦・乳成分が混ざることも。必ず原材料表示を確認。

本章は市販スパイスを“食品として安全においしく使う”ための情報です。個別の疾病治療・予防を目的としたものではありません。体質や服薬状況に不安がある場合は、医師・薬剤師へご相談ください。

第6章 トラブルを防ぐ!薬膳スパイスの注意点と禁忌事項

6-1 まず押さえたい 3 つの基本原則

  1. 治療ではなく“食養生”の範囲で使う
    • 薬効をうたう「高用量サプリ」と台所の少量使用は別物。
  2. 医薬品との“重ね使い”を必ず確認
    • 抗凝固薬・血糖降下薬などは特に注意(後述)。
  3. “合わない兆候”が出たら即ストップ&記録
    • 皮膚のかゆみ、胃痛、出血傾向などは要チェック。

6-2 リスクが高まるシーン早見表

状況主な懸念取るべき対策
抗凝固・抗血小板薬を服用出血リスク上昇シナモン・クローブ・ジンジャー・ターメリックを“週1-2回・少量”に制限
妊娠初期〜中期子宮収縮・ホルモン変動の可能性大量のシナモンやハーブ抽出エキスは避け、料理の香り付けにとどめる
胆石・胆管閉塞・重い肝疾患ターメリックで胆のう症状悪化、肝障害例医師に申告の上“使用量半減・連続1週間以内”
慢性肝炎・高齢者で多剤併用クマリン系肝毒性(シナモン)セイロン種(C. verum)を選び、1日0.5 g以下

6-3 スパイス別・禁忌&上限量ガイド

スパイス主要リスク・相互作用1日の安全目安代替案
シナモン(カッシア種)クマリンによる肝障害/抗凝固薬との重複作用体重 ×0.1 g(例:60 kgで6 g)セイロンシナモン/陳皮
ターメリック胆石・胆管閉塞/まれな肝障害2 g(食品として)サフラン少量で色付け
ジンジャー(乾姜含む)ワルファリン強化/胃酸逆流4 g(生換算)陳皮+ネギで温め効果
クローブオイゲノールの抗血小板作用1 g(粉換算:約½小さじ)花椒少量
花椒妊婦の吐き気・子宮刺激刺激を感じない程度(0.3 g目安)白こしょう

6-4 セルフモニタリング 5 チェック

  1. 爪や皮膚の出血斑:抗凝固作用過多のサイン。
  2. 黄疸・尿が濃い茶色:肝機能異常を疑う。
  3. 右上腹部の鈍痛:胆嚢への負担増。
  4. 動悸・発汗・ふるえ:辛味過多で交感神経優位。
  5. 2 週間以上続く胃もたれ:芳香辛味が粘膜を刺激。

→ ひとつでも該当したら摂取中止→医師へ症状・摂取量・期間を共有

6-5 子ども&シニアは “香りだけ作戦”

年齢層推奨形理由
1-3 歳出汁取り用ホール → 濾す未熟な消化管を直接刺激しない
4-12 歳陳皮・フェンネルの薄煎じ茶甘香で飲みやすく、刺激性低
70 歳以上ホールをガーゼ包みで煮出し噛みづらい・誤嚥リスクを回避

6-6 信頼できる情報源を見分けるコツ

  1. 医薬品相互作用データベース
    • 例:MedlinePlus、NCCIH、LiverTox(米 NIH)
  2. 査読付きレビュー or メタ解析
    • 2024-25年公開のレビューを優先し、発症例数・用量を確認。
  3. 販売業者のロット検査報告書
    • 残留農薬・カビ毒・重金属の値が添付されているか。
  4. “万能” “即効” “副作用ゼロ” の文言は要警戒

6-7 まとめ ― “効かせる”より“残さない”が長続きの鍵

  • 毎日違うスパイスでローテーション
    → 単一成分の蓄積を防ぐ。
  • 1袋使い切る前に 1 週間“休薬”
    → 体調の変化を把握できる。
  • “体質が変わったら半量に戻す”
    → 効き目を感じなくても増量せず、まずお休み。

あなた自身か医療者か――プロの視点で副作用を“ゼロ想定”に しておけば、薬膳スパイスは日々のごはんを支える頼れる相棒になります。

法令遵守と安全のために
本章は食品としてのスパイス利用における安全管理情報をまとめたもので、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。持病がある方、薬を服用中の方、妊娠・授乳期の方、ならびに高齢者・小児は、必ず医師・薬剤師など専門家にご相談ください。

第7章 さらに深めたい人へ

― 書籍・講座・ワークショップで “学び” を続ける方法 ―

7-1 なぜ “学び” をアップデートするべきか

  • 薬膳とスパイスの研究は毎年アップデートされ、推奨量や相互作用の知見も変わる。
  • 季節・年齢・生活環境で体質は動くため、最新の知識 × 現在の自分 を照合できる環境が必要。
  • コミュニティに属すれば“続ける仕組み”が自然にできる。

7-2 初心者〜中級者に役立つ 定番書籍 5 冊

目的タイトル(出版社/刊行年)特徴
まず一冊『薬膳・漢方検定公式テキスト 改訂版』 (実業之日本社・2024)五性五味表が見やすく、検定対策にも◎
レシピ重視『からだを整えるスパイスごはん』 (ナツメ社・2024)写真が大きく、分量がすべて g 表記
理論を深掘り『薬膳食典 食物性味表』 (医歯薬出版・2023)500 食材の性味・帰経を網羅
読み物として楽しい『櫻井大典先生のゆるゆる漢方生活』 (ワニブックス・2024)マンガ+コラムで“挫折ゼロ”
資格を視野に『薬膳マイスター養成講座公式テキスト』 (キャリカレ・2025)試験範囲と学習計画を一本化

7-3 オンライン講座 で全国どこでも学ぶ

サービス形式・日程ここが○料金(目安)出典
季結び庵「暑い季節を彩る!スパイス×ハーブの薬膳ごはん」Zoom/2025-08-15(金)10:00-11:30夏バテ対策レシピ3品+見逃し配信1か月3,500 円薬膳茶 TOKIMUSUBI TEA by 季結び庵
本草薬膳学院 研究科コースZoom 同時配信(月1・日曜または水曜)通学 or オンライン選択可、単発受講も1コマ 6,600 円〜honzou.jp
薬日本堂漢方スクール「暮らしを彩るスパイス」動画+ライブ Q&A(月2回更新)歴史・背景を踏まえた実践講座5,500 円/90 分kampo-school.com

7-4 資格取得ロードマップ(独学+通信で約1年)

  1. 薬膳・漢方検定(在宅 CBT)
    • 合格率 80 % 前後。テキスト+過去問 3か月。
  2. 薬膳マイスター/薬膳アドバイザー
    • 民間通信講座。レポート添削+オンライン実習。
  3. 国際薬膳師(士)
    • 本草薬膳学院・国際薬膳学院などで 300 時間以上の履修+年1回試験。
    • Zoom 併用で地方在住でも受験可 honzou.jp。

資格取得=ゴールではなく、学びの“指標”
“検定 → 現場レシピの実践 → 上位資格”の らせん型学習 が定着しやすい。

7-5 次の一歩 ― “読む・作る・話す” を1週で回す

曜日行動所要
テキストを 10 ページ読む20 分
オンライン講座アーカイブ視聴30 分
習ったレシピを実践 → SNS投稿60 分
フィードバックをノートに反映15 分

法令遵守と安全のために
本章は学習リソースの紹介を目的としています。各講座・書籍の内容は主催者・出版社の責任で提供されるものであり、当ガイドが医療効果を保証するものではありません。参加・購入の判断はご自身の体質・ライフスタイル、そして医療専門家の助言を踏まえて行ってください。

第8章 まとめと次のステップ

8-1 ここまでの振り返り

キーコンセプト今日からできる一歩
1 はじめに食養生×スパイスの相乗効果毎朝の白湯に陳皮を一片
2 基礎知識五性・五味・帰経をざっくり把握今夜の献立を「温or涼」で仕分け
3 10種スタータースーパーで揃う代表スパイス“3 : 2 : 1”でお試しブレンド
4 体質別チャート冷え・むくみ等5タイプ自分の優先タイプに○を付ける
5 超かんたんレシピカレー・スープ・安眠ティー週末に3品まとめて作り置き
6 注意点と禁忌相互作用・上限量ガイド服薬中の方は主治医へリスト提示
7 学びを深める書籍・講座・コミュニティ#今日の薬膳スパイス で発信

8-2 “続ける仕組み” を設計しよう

  1. キッチンにスパイスステーションを作る
    • 遮光ミニ瓶5本をコンロ脇に。ラベルは「開封日+使い切り予定日」。
  2. 週1ルーティンを固定
    • 月曜:在庫確認 → 不足分をオンライン発注
    • 金曜:1週間の体調メモを3行で振り返り
  3. 3か月ごとに“味覚リセット週”
    • スパイス量を半分に落として体調を再評価。

8-3 よくある壁と処方箋

“挫折ポイント”処方箋
味がワンパターンになる月替わりで“主役スパイス”を交代(例:8月はターメリック→9月は花椒)
家族が辛味を嫌がるホールのまま煮出して取り除く。“香り先行”で慣らす
忙しくて買い足しを忘れる通販ショップで「定期便」を設定し、50 g×3か月サイクルで届くように

8-4 ロードマップ:半年で“自分レシピ”を完成させる

目標チェックポイント
1基本5種を使い切る粉末残量ゼロ/ホールは香り弱まる前に使い切り
2体質別チャートを月2回実施タイプの変動を把握
3オンライン講座を1本受講レポートかSNS投稿でアウトプット
4新スパイス3種を導入花椒・カルダモンなど刺激系を少量
5家族用マイルドメニュー開発離乳・減塩レシピを2品固定化
6オリジナルブレンドを販売店で挽いてもらう“わが家の定番ブレンド”を瓶にラベリング

8-5 最後に ― “おいしい” がゴールライン

薬膳スパイスは、体調の変化を「香り」と「味」で感じ取れるセルフケア
数字(g)と体感(日記)をセットにすれば、専門家でなくても安全域を保てます。

難しく考え過ぎず、まずはひと振り。
香りが立った瞬間、台所は小さな薬膳ラボになります。

ご注意
本連載は“食品としてのスパイスによる日常ケア”を目的に構成しました。疾病の診断・治療・予防を意図するものではありません。持病のある方、薬を服用中の方、妊娠・授乳中の方、高齢者・小児は、必ず医師・薬剤師など専門家にご相談のうえご活用ください。

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