五性・五味・帰経とは?
薬膳の世界では、食材やスパイスの性質を「五性」「五味」「帰経」という3つの物差しで表します。これらを理解すると、目的や体調に合ったスパイスを選びやすくなります。
- 五性(ごせい):寒・涼・平・温・熱の5段階。食材が体を冷ますか温めるかの尺度です。
例:シナモン(温)、ターメリック(平)、陳皮(温) - 五味(ごみ):酸・苦・甘・辛・鹹(しおからい)。味ではなく、五臓への働き方を示すサインです。
例:フェンネル(甘)、ターメリック(苦)、クミン(辛) - 帰経(きけい):食材がどの臓器に届きやすいかを示す分類です。
例:陳皮は「肺・脾」、白胡椒は「肺・胃」へ作用しやすいとされます。
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スパイスの役割を細かく分解
スパイスは香りや色だけでなく、薬膳的にも多様な働きを持っています。
- 香り(アロマ効果)
精油成分が鼻腔から脳に届き、自律神経の切り替えをサポートします。
例:カルダモンの爽やかな香りは、仕事モードからリラックスモードへの切り替えに最適。 - 温め・巡らせ(辛味・揮発油)
生姜や花椒などに含まれる成分は血行を促し、冷えを緩和します。
例:生姜をお湯に浮かべるだけでも十分に役立ちます。 - 消化を助ける(苦味・芳香)
クミンやフェンネルは、胃腸の負担を軽くする働きがあります。
例:食後のチャイにブレンドすることで胃もたれを軽減。 - 彩りと保存性(色素・抗菌)
ターメリックの黄金色は料理を鮮やかにし、防腐効果も期待できます。
季節・症状別の組み合わせ例
薬膳とスパイスの強みは、「シチュエーション別に選べること」です。
- 季節の変わり目で体調がブレる
陳皮+バジルで気の巡りを整え、ストレスを和らげます。 - 冷房で手足が冷える
シナモン+クローブをミルクに煮出してチャイに。 - 脂っこい食事が続いた
クミン+フェンネル+コリアンダーを炒め油に加えて消化をサポート。
実体験からわかる効果的な取り入れ方
慢性的な冷えに悩んでいました。朝の白湯に陳皮を一片浮かべるだけで、指先の血色が戻る感覚を実感。
五性で「温」、五味は「辛・苦」、帰経は「肺・脾」という特性が、まさに今の体調に合っていたのだと納得しました。
安全に楽しむための基本ルール
スパイスは食品ですが、薬膳的な力が強い分、使い方にも注意が必要です。
- 適量を守る:基本は“薬味”として少量。大さじ単位で使うのはカレーなど限られた料理だけ。
- 相互作用に注意:服薬中は医療者に確認(例:抗凝固薬とシナモンの併用)。
- 体調日記をつける:使ったスパイスとその日の体調を記録し、合わないと感じたらすぐ調整。
この章のまとめ
- 五性・五味・帰経はスパイス選びの基本軸
- スパイスは香り・温め・消化・彩りの面で薬膳効果を高める
- 季節や症状に合わせて組み合わせると効果的
- 適量・相互作用・体調記録の3つを守れば、安全に長く楽しめる
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